「なあ、たっちゃん。ノート見せて? あと課題もー」
持っていたペンをペンケースにしまう。ノートを閉じようとして、久我龍樹は聞き慣れた声に手を止めた。眼鏡を中指で押し上げ、目の前の男に視線を向ける。
「はぁ? また?」
「俺、まだ終わってないー。これやらないと夏休み補習になるんだって」
龍樹の机にべたりと張り付いている男、飯島咲夜は龍樹の幼馴染みだ。
甘えた声を出す咲夜を軽く睨みつけて、仕方ないという素振りをする。
これは、龍樹が選んだ咲夜の一番近くにいる方法だ。
咲夜が好きだ。
本当は叫びだしたいほど恋焦がれている。
けれど、気持ちを伝えてしまったら、咲夜の隣にはいられないから……。
無料サイトでリクエストを受けて書いた『幼馴染み、両片想い』の短編BLです。

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